本講座では、中国・唐時代(618~907)の墓に副葬された陶製の人形(ひとがた)である「俑(よう)」の中でも、武人の姿をした「天王俑(てんのうよう)」に注目し、その造形や制作背景に迫ります。
天王俑は、甲冑を身にまとい、邪鬼を踏みしめ、鋭い眼差しで立つ姿から、仏教美術の神将像を思わせます。威厳に満ちたその表情は少し怖くも見えますが、墓室の入口に置かれ、死後の安寧を守る役割を担っていました。シルクロード交易によって繁栄し、貴族文化が花開いた唐の時代背景をふまえながら、こうした天王俑の造形に込められた意味や、仏教美術との深い関わりにも目を向けて読み解いていきます。
天王俑は、12月13日(土)より開幕する次回特別展にて公開を予定しております。